天使の歌


「餓死されちゃ困るんだ。……たった3日だから、しないとは思うが。」

「そう、ですね……。」

スティの言葉に答え、ディリーは押し黙る。

やがて意を決し、口を開いた。

「……あの……セティは、スティ様の、弟、なんですよね?」

「父親が違うがな。」

「家族と思った事は?」

「1度たりとも、無い。」

スティは きっぱりと否定した。

「寧ろ、帝に仕える我が家の、恥だ。」

忌々しげに呟き、スティは片眉を上げてディリーを見た。

「お前、あいつに同情してんのか。」

「ちっ、違います!」

慌てて否定し、ディリーは俯いた。

「只……あたしも早い時に家族を失ったから、彼も寂しいんじゃないかと……。」

「それが同情って ゆうんだよ。」

スティは鼻で笑い、真剣な眼差しでディリーを見つめた。

「あいつは明日、惨めな想いを して、死ぬんだ。余り、情を抱くな。」

「……はい。」

殺したいなら殺せば良いのに、何故 明日ああするのか。

訊きたいのを我慢して、ディリーは頭を下げると、書斎から出て行った。