天使の歌


その日から、スティやリエティーに殴られ、蹴られ、傷の所為で熱に浮かされ。

意識が、朦朧と していた。

それでもパンと水は届けられるので、セティは どれだけの時間が経ったか、把握する事が出来た。

長い時間が経ったように感じたが、まだ捕まって、2日しか経っていなかった。

「……また食べてないの?」

手が付けられていないパンを見て、鉄格子越しにディリーが話し掛ける。

セティは、はぁはぁと肩で息を したまま、目を閉じていた。

ディリーは溜め息を つくと、独房に入って来た。

「ちょっと、ちゃんと食べなさいよ。じゃなきゃ あたしが怒られるんだから。」

パンを千切り、セティの罅割れた唇に当てる。

セティは僅かに首を横に振って拒否した。

「食べれないの?食べたくないの?」

訊くと、セティは僅かに口を開けたが、その喉から声は出なかった。

それを見て、ディリーはパンに水を含ませ柔らかくすると、セティの口に入れた。

「……っ……。」

水に濡れた それは、何だか気持ちが悪い。

そのパンが、舌に乗ったままなのを見て、ディリーは、セティの鼻と口を手で覆った。