天使の歌


「……っ。」

痛む頭を抱えて、セティは その場に踞っていた。

(……キュティが、好き……?)

そんな事を考えている場合ではないのに、セティは何度も、その言葉を繰り返してしまう。

(違う。好きなんかじゃない。只、護ってやりたいと思うだけで。)

必死に、言い聞かせる。

もう、恋は しないと決めたのだ。

裏切られるのが、怖いから。

セティは起き上がると、右手を足に付いた枷に置き、邪力を送り込んだ。

しかし枷は、びくとも しない。

(やっぱり駄目か……。)

溜め息を付いて、その場に身を横たえる。

(これから……どうなるんだろう。)

もう本当に、死んでしまおうか。

神力と邪力を同時に使えば、きっと躰の均衡が崩れて。

苦しいだろうが、死ねる。

それでも、出来なかった。

――怖い。

生きているのも、死ぬのも。

自分を認めてくれない世界が、
怖くて、怖くて、怖くて。

こんな臆病な自分が、大嫌いだ。

何でだ。

俺は、平凡に生きたいだけなんだ。