天使の歌


「!!」

神霊(みたま)がキュティのみを運んだ事を理解して、セティは直ぐ様、自分を抱え込むディリーの膝を、思い切り蹴った。

「いっ!!」

その反動を利用し、空中で一回転して、セティは床に着地した。

しかし直ぐに、膝を付いてしまう。

「……っ……はっ……。」

限界だった。

酷使した躰が、悲鳴を上げている。

戦わなければと焦る気持ちとは裏腹に、視界が ぐにゃりと歪み、セティは そのまま俯せに倒れた。

「ふん、良い気味ね。」

リエティーが鼻で笑い、セティの右の手の甲に、短剣を突き立てた。

「……ぐっ……。」

それは床さえも突き破り、セティの右手の自由を拘束する。

「全く、手間取らせてくれるわね!」

リエティーは そう叫んで、セティの頭を蹴り飛ばした。

其処からは もう、袋叩きだった。

セティが悲鳴すら上げられなくなった頃。

リエティーは漸く、暴力を止めた。

「さて、スティ様の所へ、連れて行かなきゃね。」

それを聞いた瞬間。

セティの躰が、びくんと震えた。