天使の歌


「わっ、私の手を溶かしといて、見ていられないですって?」

リエティーが怒りに わなわなと震える。

「あんたが離さないからだろっ!!」

セティは怒鳴り、また血を吐いた。

その背中を擦ったまま、キュティは歌い始めた。

「!?」

ディリーとリエティーが、驚いてキュティを見つめる。

声が震えるのを必死に押さえて、キュティは祈った。

(お願い。)

何処か、遠くへ。

私達を、逃がして。

神霊(みたま)がキュティとセティを運ぼうと した時。

「いけないっ!」

キュティが何を しているのか理解したディリーが、セティの左腕を掴んで引っ張った。

「っ!!」

セティは抵抗したが、為す術無くディリーの躰に抱え込まれる。

「セティ!!」

キュティが驚いて歌を止め、セティに手を伸ばす。

セティも身を捩って、その手を握ろうとし。

指先が触れ、再び離れた その刹那。

キュティの姿は その場から掻き消えていた。