「おい、どうすんだよ……。中山優花、起きねぇぞ?……お前、もしかして、殺しちゃった?」

誰……の声……?ていうか、目隠しされていて、目の前が真っ暗……。椅子に座って縄らしき物で私の体は固定されてる……。

「だっ、大丈夫ですよ……。多分……」

……さっきの男の子の声だ……。

「……………」

あっ、口に何もされてなかった……。……ガムテープとか、されてるかと思ってた。

「どーすんだよ……」

「ぁっ……。あの……」

私は、ゆっくりと口を動かして声を出した。

「ぅわっ!ビビった……。いつから、起きてたんだよ……。お前……」

私の方が、ビビるよ……。……多分、あれは、スタンガンかな……?……結構痛かったな……。

「今、何時ですか?ていうか、早く目隠しだけでも良いので取って下さい……」

「……はっ?」

「はっ?」

あっ、喧嘩売っちゃいそうになった……。

「…………。おい、龍太、中山優花の目隠し取ってやれ……」

「はい……」

私の視界は、明るくなった。私は、周りを把握するために、目をパチパチとまばたきをした。

ぐぉ……。凄い眩しい……。私の目が慣れると、見えたのは。

知らない男の子2、3人と、スタンガンを私に当てたであろう、男の子がいて。

私が、いる空間はお世辞にも綺麗とは言えないけど、広い所だった……。

「………いつ、帰してくれるんですか?お腹空いたんですけど……。餓死したら、訴えますからね……」

私の言葉の次に、私のお腹がグゥゥと鳴る。

「「…………………」」

少しの間、私達は無言になる。

「噂通り、変な女だな。中山優花…」

私の目の前に、どこかで見たことのある小さい男の子がきた。

「ちっちゃ……。あっ、ヤバッ……」

私は、さすがにヤバいと思って視線を逸らした。

「……………」

どっ、どうしよ……。本音が出ちゃったよ……。うわぁ……凄い怒ってる……?

「すいませんでした……、早く帰して下さい……」

「お前…今の自分の状況分かってる?」

小さい男の子が、私の顎を持ち上げて睨みつける。

「どうでも、良いので……」

愛美は、絶対に助けてくれるし……。

「ふーん……」

「逆に、アナタ達の方が、自分達の状況分かってる?……私に、手出したから愛美……。キレるよ……?」

私が鼻で笑うと、小さい男の子は、私から離れると大きなソファに腰をおろした。

「知ってる……。でも、こうするしか無かったんだよ……。俺は、アイツと手組んで、全国一位を狙いたいんだよ……。分かるか?お前にこの意味が」

「まぁ、アナタ達が卑怯って事は……」

私がボソッと呟くと、背の高い人が近寄ってきて。

「本当に生意気だな……。中山優花って……」

凄い背の高い人は私の事を見下ろす。

「気安く名前呼ばないで下さい……。ていうか、私が買った買い物類はどこですか?」

視線を動かす限り、私が買ったであろう買い物袋がなくて。

カレー作ろうって思ってたのに……。

「あ、そこにあります」

私にスタンガンを当てたであろう、男の子が、指差した。……ソファにポツンと置かれてた。

「ありがとう。……卵……割れてる……」

はぁ……。オムライス作れないじゃん……。

「…最悪………」

私は少し頭が痛くなり、長くて深い溜息を吐いた。

「……ごめんなさい……」

「別に良いです……」

「……………」

それに、今思い出したけど、ソファに座ってる小さい男の子、月光組の総長だよね…?

この前、屋上で見たんだった……。

「どうせ、そこの小さい総長様に頼まれたんだから仕方ないけどさ……。…本当に迷惑。お腹空いた。カレー作って食べたい……。作らせて。勿論、私の分ダケだけど……」

私は縄を解こうと、身体を左右に動かす。

ん……?誰が、ケチって?……卵割られた代償なんです!

「……コイツ、馬鹿なの?アホなの?ちょっと…俺、鳥肌たって止まらないんだけど……。コイツ、馬鹿過ぎて……」

背の高い人は、私の発言に半分呆れていた。

「アンタ達の方が、馬鹿ですよ……」

もう、嫌だ。帰りたい……。

私が、凄いブルーな気持ちになってると、私の向かいのドアが開く。

……そこには、可愛い男の子がいた。

「おにーたん!おにゃか、すいたのー」

背の高い男の子に、抱き付く。……鼻血でそう。半端なく可愛い……。

「可愛い……」

「当たり前だ!俺の弟なんだからな!」

「ふーん……。可哀相……。弟君が……」

「おねーたん、だれぇ?なんで、しばられてゆのー?」

「あのね。この、お兄さん達に襲われたの」

ギロッと、数人の男共を睨む。

「かわいそー!…ぼくが、いま、たつけるね!」

「ありがとう」

私は、男の子に笑顔でお礼を言う。男の子は、私の縄を解こうとしたけど、結構強く縛ってるようで、ビクともしない……。