「私…何してんだろ…」

ちょっとサラサラで、冷たい風に頭を冷やされ、網に頭を預ける。さっき風真君に言ってしまった事を思い出して反省する……。

本当に頭にキたら言いたい事を何でも言っちゃうこの悪癖……。直したいよ……。

「明日は、絆を深めるために、旅行に行くのに……」

前日に喧嘩するって……。私のバカ。バカ…バカ…バカ…バカ…。今更、泣くなんて、都合の良い女だな。私は……。

「優花……?」

「要、君?」

泣いてるのがバレないようにずっと網から頭を動かさないで、名前を呼ぶ。

「……大丈夫?」

「何…が?私は……いつでも、大…丈夫だよ」

私の目から静かに涙が出る……。それを、制服の袖で拭う。

「……………」

急に要君に腕を引っ張られる。涙を全部拭いて無いのに……。

要君は、自分の制服の袖で私の涙を拭いてくれた。でも、拭いても拭いても私の目から涙は止まらないで出てくる。

「ぅぅ……。すぃま…ヒッ、ク…せん」

「風真は、優花の事を心配してるんだよ。優花は可愛いから、いつか男に無理矢理襲われるんじゃないかって。優花が傷つくのを見たく無いんだと思う。あぁ見えて風真が一番生徒会委員の中で心配性なんだ」

「…ふっぅ……意、外………」

私は、風真君の優しさに気づけなかったんだ…。本当に風真君の言う通りに私は……バカ女だ。

「風真は優花の事は大嫌いじゃないよ。その逆で、風真は優花の事が大好きだから。風真も、言い過ぎたって反省してたし…。ね?」

……私が言い返さなければこんな事にならなかったんだ。私の、ただの意地と悪癖でこんな事になってるんだ……。

「ごめ…んな、さい……」

フワッと紅茶の香りがした。私は、要君に抱きしめられてる。温かくて、優しくて。風真君と要君は、全然仲は悪くない。喧嘩する程仲が良い……。この言葉がピッタリの二人。

「まだ、泣いてても大丈夫だよ……」

要君は、私の背中を優しくポンポンっと叩く。大丈夫、大丈夫。って……。

「ふぅう………うぅぅ………」

「………俺…人の事言えない……」

私の頭を優しく撫でながら要君が何かを言った。

「ふぇ……?何……?」

「ちょっと……ね…」

「そっ、か…」

要君って本当に紅茶の良い香りがする。ちょっと、落ち着く……。

「じゃあ、そろそろ戻って風真と仲直りしてこようか?」

「……私…変な事言わないかな?大丈夫かな?」

「大丈夫。優花なら出来るよ」

「ありが…とう。要君」

エヘヘって笑うと要君も笑ってくれた。

「うん」

ペシペシっと自分の頬を叩く。

「………よし!気合い入った」

「頑張って」

私の背中を要君がトントンっと叩く。

「………よし!行こう……」

でも、ごめんって言って嫌だって言われたらどうしよ……。

「…………?」

「ぅう……。どぉ…しよぉ……。ゥワーン…」

「えっ?ぇえ?優花…?」

「嫌って、……言われ…たらどぉ…しよぉ」

「大丈夫だって……。えぇっと……」

要君が私の頬にキスをした。私が、固まってると……。

「上手くいく……おまじない……です」

カァァっと段々顔が熱くなってくる。ビックリしすぎて、思考がついてこない……。

「あっ……ありがと…うござ、います」

要君、顔赤いし……。

「じゃ……あ…行こう」

要君は手を差し出してきた。

「…………?」

「手…繋いだ方が、安心すると思うし…」

「あっ…。そういう事か。失礼します…」

私がソロッと手を伸ばすと、要君から手を繋いできた。

「えっと。行こう…か」

「うん……」

パタパタっと早足で生徒会室に行く。私は、深呼吸して生徒会室に入る。
一番最初に目が合ったのは、風真君。

「えっと…」

「「ごめん」なさい」

見事に、私と風真君の声が重なった。