私は真っ白で何も無い空間に立ってた。私は誰かに引き付けられてるかのように真っ白な空間を歩いた……。

ちょっと歩いていくと人影があった。その人影は、死んだ筈の両親だった。

『……優花、おいで』

『………お父さん、お母さん?あれ?飛行機事故って…』

『あんなのデタラメよ。優花』

『……えっ?本当に?でも、何で今まで私を1人にしたの?』

私の疑問をお母さん達にぶつけた。でも、その疑問が晴れる事は無かった。

『………よ』

『ぇっ?何?聞こえなかった…』

ジリリリ……──

うるさい目覚ましで、目を覚ます。手を伸ばし、机に置いてある目覚まし時計を止めた。

「……何で…私だけ……」

私は、重い体を嫌々ベットから起こす。
いつから…。いつから…だろう?こんなに孤独感が増えていったのは……。

「よし、学校行く準備するか…」

私は、両親を飛行機事故で亡くしてる。それに私は親戚にも引き取ってもらえず1人暮らしをする事になった。

お金は充分ある。一生働かなくても良いくらい。お母さんとお父さんがもしもの為貯めてくれてたお金。

もう、親戚なんかに頼らない。ずっと1人で生きていく。大人なんか、頼りたくない…。

そして、私はいつものように決まった通学路を歩く。

太陽の光がちょっと強い。汗が少し滲み出る。まだ、春になったばかりなのにね。

「優花。おはよう」

小さい頃より、綺麗になった声で後ろから私の名前を呼ぶ愛美。

………うん。どっから、どう見ても優等生な愛美。本当に暴走族夜桜組の総長?

「おはよう。喧嘩どうだった?」

私の一言で、愛美が少し俯く。私は、どうしたの?と、聞いた。

「…………それがさ月光組の総長が同い年だった。しかも、同じ学園。顔見られたかも知れない…」

「ヤバいね……。……大丈夫?」

「……うん…。まぁ、アイツ弱そうだし?私、一回殴り合いしたけど、優花と殴り合いしてんのかと錯覚した位」

ハハッっと、愛美が笑った。なんか、相手の総長さん可哀想。私なんかと錯覚されたって…。

「って…私が弱いって意味?!」

まぁ、確かに弱いけど!!

「……違う、違う。優花だって強いよ。ただ、動きが優花みたいだったって事」

ん………?って事は……。

「相手さんって女の子?」

「いや、男。私より、少し背が高い位」

「結構小さいね」

愛美で、155㎝弱……。

「うん。165㎝あるか、無いか」

「小さいねぇ…」

「…優花の方が小さいよ」

「まぁ、そうだね」

私の身長?……150㎝弱……。

アハハハッと愛美と2人で笑い合っていると背中にドンっと結構な衝撃が来た。

「優花、おはよー。愛美もおはよー」

犯人は、雪斗。たまに、ぶつかってくる。

「おはよう、雪斗。重い、離れて」

「早く離れろ。雪斗」

「2人とも酷いな……」

「そういえば。愛美、いつ位まで喧嘩あるの?」

「分からない…。最高、3ヶ月後…。私が本気出せば、明日。けど、月光組の総長に顔見られたから、ちょっと仲間に頼んでる。出来れば、潰せって」

愛美様…。余裕の笑顔がちょっと、いや、かなり怖いです…。

「あれ?無視?」

重い雪斗を無視して、毎日同じように平和に学校に着いた。平和に学校に着いた…ダケ。

「おはよー。優花ちゃん」

下駄箱から上靴を出して上靴を履いた。顔をあげるとチュッと私の頬にキスをしてきた、直樹君。

「何してるんですか?てか、アナタ誰?」

愛美が黒い笑顔をしながら直樹君に聞いた。……さすが、総長。迫力満点。

「優花ちゃんの王子様の真島直樹でーす」

「は?」

愛美がちょっとダケ本性を出していた…。
直樹君、凄い香水の香りが…。愛美は香水が大嫌いだ。

「もう、直樹。昨日も言ったでしょ。優花から離れて!」

「えー。嫌だー。だって優花ちゃんって良い香りするんだもーん」

直樹君が私の首に鼻をなすりつけた。私は、首が一番弱い…。

「ひゃあ……」

「ちょっと、優花から離れて下さい」

愛美がキレかかってる。ヤバい…。

「はい、はい。じゃあ、優花ちゃん。放課後楽しみにしてるねー」

「………はぁぁぁ。なんだ?あの、チャラメガネ」

「愛美!本性出てるって…」

「あの男の子は、真島直樹。生徒会委員だよ」

雪斗が小さな声で愛美に耳打ちをした。