「風真の場合、体がデカいだけで後先を考えない。女の子は、優しい男の子が良いんだよ?風真は、いつも意地悪ばかり。好かれる可能性は、風真が一番低い」

藍が風真君の悪い所をズバズバ言っていく。

「んだと!?ふざけんな!しょうがねぇだろ。本気で女を、好きになった事ねぇから分らねぇんだよ…」

風真君は目を泳がせ、チラチラと色んな所を見てる。

「僕だって初めてだ。だから、最初は戸惑った。これが、本気で好きになるって事なのか?ってね」

藍は窓の外を見ながら言った。

「僕は…小さい頃からだし…。初恋…」

雪斗は、小さな声でボソボソっと言った。

「えっ?初恋は叶わないって良く言うじゃん。雪斗、ドンマイ」

直樹君が雪斗の背中を優しく撫でる。

「何でそんな事言うの!!直樹って本当に最低!」

「皆、なんの話をしてるの?私も混ぜてよ」

「優花には、まだ言えないの。もうちょっとしたらだよ?後もう少し我慢してね?」

藍が優しい笑顔で私の頭を撫でる。

「………てか、何で直樹がその女の子を好きになったの?」

雪斗が、直樹君を見る。少しだけ直樹君の顔が赤みを増やした。

「えっ?きっ、聞きたい?」

「別に。女好きには興味無い」

風真君が冷たく突き放す。

「僕も」

藍が風真君に続く。
「そこは、聞こうよ~」

直樹君が泣き真似をする。でも、どこかワザとらしい。

「はい、はい。じゃあ、何でですか?」

藍が心底どうでも良さそうに聞く。

「えっと……。その女の子は、他の女の子達と違って俺の事を見ても赤くならないんだ。俺に興味無さそうだし。俺の前を通っても見向きもしてくれない…。たまに、見てきたと思ったら、俺の周りにいる女の子達しか見てなくて…。俺に興味を持たない女の子なんて初めて見たから、興味持ってたら、俺はその女の子にいつの間にか惚れてた。つい最近気づいたばかり……、ってちゃんと聞いててよ~!!!」

直樹君が、皆に訴えかける。確かに、皆は全く直樹君の話を聞いてなかった。

「聞いてたって。…お前がその女の子に殴られて、ドMなお前はすぐに惚れたって話だろ?」

「……風真……。ちゃんと話聞いててよ。全く別の話だよ。俺、そんな事一言も言ってないよ…?」

「だから、お前に興味ねぇんだよ…。一々聞いてられっかよ」

「風真君ヒドーイ。直樹君が可哀想ー」

人の話位聞いてあげないと、だよ。

「……うぅ……。優花ちゃーん!!」

直樹君が私の所に走ってきて思いっきり抱きついてきた。私はバランスを崩し、後ろに倒れる。バッターンと大きな音をたててその場で私倒れた。私は冷たくて固い床に背中から倒れる。激痛が背中を走る。

「いったぁ……」

あまりの痛さに顔がひきつる……。

「優花ちゃんって柔らかーい。可愛いー」

抱きついたまま、私の事をペタペタっと触る。直樹君は、高い鼻で私の首を擦る。

「ひゃゃゃあぁぁ……」

首が体の中で一番弱い所を攻めれて体が麻痺状態になる。体に力が入らない……。指足先が震える。