「雪斗……、言葉を選んで話した方が良いよ……?」

蓮さんが、優しく微笑みながら雪斗に言った。

「はい……」

雪斗は、少し落ち込みながら返事をした。

「ま、まぁ!まぁ!…み、皆!この後、皆で協力して仕事しないといけないんだし!仲良くしようよ!」

私は、雪斗と蓮さんの間に無理矢理入り込んで、2人を遠ざける。

「………そうだよ。優花の言うとおりだよ。子供みたいなケンカは止めなよ」

藍が、腕を組んで仁王立ちをする。

「いやいやいや……!!藍が一番最初に、ケンカ売ってたようなものだから!!」

直樹君が、すかさず、ツッコんだ。

「え?そう?普通だと思うけど…」

「うん。ごめん。藍の普通は普通じゃなかったのを俺忘れてた」

直樹君は、呆れ顔で溜め息をついた。

「何それ?僕のことをバカにしてるの?」

「してません、してません!!」

直樹君は、慌てて両手を横に振った。

「そう…。なら良いんだけど……。ていうか、この終業式って…」

藍が言いかけた時に、聞き覚えのある声が出入り口から聞こえる。

「後、数分後に終わって。君達は、結構な時間説教だね」

バッと、皆が後ろを振り向いた。私達の視線の先には、学園長…あっくんがニコニコと黒いオーラを纏いながら立っていた。

「が、学園長……」

会長が、冷や汗をかきながら立った。

「い、いつからそこに…」

愛美が、あっくんに聞いた。あっくんは、ニコッと微笑んで…。

「最初から…ね…。優花ちゃん……、悲しいけど…。……サボったら意外とバレるようなものなんだ……」

あっくんの声は、いつもより少し低かった。

本当にあっくん、最初からいたんだ…。

「ごめんなさい……」

私は、ボソッと呟いた。その時に、あっくんは優しく微笑む。

逆に、その優しい微笑みが怖い…です…。

「後、退学の条件はもっとあるよ。……恋愛ごとで問題起こしても…退学だからね。…注意するようにね」

「「「「…はい………」」」」

「「「…………………」」」

生徒会の皆は、声を揃えて返事をする。愛美達は、無言で視線をチラチラさせていた。

「………ぷっ…。あははははっ!!!君達、本当に面白いね!!!」

あっくんが、急に大声で笑い出した。私達は、ポカーンと停止する。

「へ?あっくん?」

数秒後、私の口からは、間抜けな声が出た。

「あれは、冗談だよ。君達の反応を見たくて、ワザとああいう事をしたんだよ…。くくくっ……。予想外の反応で、ビックリしたよ。途中で噴き出すかと……」

あっくんの冗談は、キツすぎる。怖すぎる…。

「じいちゃん…、私、怒るよ」

愛美が、凄い怖い顔であっくんの事を睨んだ。あっくんは、少し苦笑いして。

「ごめん、ごめん、愛ちゃん。でも…、次サボったら…停学にしちゃうかも…」

「「「「……………………っ」」」」

皆が、冷や汗をかいて、あっくんを見ていた。

「だから、冗談だって!!」

あっくんは、おちゃらけながら皆に向けて笑った。

「じいちゃん!!!!」

その後、愛美とあっくんのケンカ?は終業式が終わるまで続いたのであった…。