「なっ、尚矢を一回寝かせないと……」

「ソイツは、一回屋上から落として一生寝かせとけ!」

「会長がそんな事言ったらダメじゃないですか!!」

「お前の事を押し倒したんだぞ!お前の事が好きな俺達に、とったら殺したい位にキレるんだよ!!」

「……………」

会長の堂々恥ずかしい発言に、私は尚矢を落としそうになる。

「でっ、でも!ダメですよ!」

「優花、お願い」

藍が、ウルウル目で見つめてきた。私は、一瞬、尚矢を藍に渡しそうになったけど。頑張って自分の手を止めた。

「あのね?皆、ダメだよ。人を、イジメても良いことは無いんだよ?愛美からも、言っ…」

「ソイツは、死んでも良い存在だ。優花を、押し倒したんだからな」

「でも、ベットにだよ?寝かせてくれようと、したんだよ!!」

「お前、押し倒されるって、意味分かってんの?」

風真君が、目を丸くして聞いてきた。

「寝かせてくれるんじゃないの?」

「ちげえよ。押し倒す、ってのは。襲うって、意味だよ」

「えっ?私、殴られる所だったの?!えっ?尚矢、最低!」

私は、尚矢を離す。尚矢の大きい体は床目掛けて倒れていった。

「……いってぇ……。って、梓テメェ!」

「もう、尚矢大嫌い!」

「はっ、……は?何でだよ。急に……」

尚矢が、アタフタしながら私に近寄る。

「皆から聞いたよ!私を、襲うとしたって!」

その一言で、尚矢は顔を赤くした。

「うっ、うるせ!男なら、普通だし!お前が、俺を勝手に信用して、ホイホイついて行ったのが悪いんだよ!」

「知らないよ!私、何もしてないのに、殴ろうとしてたなんてさ……」

「………はっ?」

「襲うって、殴ったりするんでしょ!尚矢の事、信じてたのに!最低!」

「はっ?……お前ら、コイツに何言ったんだ?」

尚矢が、額に汗を滲ませて皆に聞いた。

「コイツ、ピ───系知らないんだよ」

風真君が、何気なく言ったら。要君が、風真君の頭を叩いた。

「風真、下ネタヤメろ」

「いや、コイツ知らねぇから良いだろ。なぁ?優花。お前、ピ───知らないよな?」

「ピ───?うーん、ピ───は、聞いたこと無いな。えっ?皆、ピ───知ってるの?……ねぇねぇ、ピ───って何?愛美、ピ───って、分かる?」

「おっ、おい!優花、一回黙れ」

愛美が、顔を赤くしながら私の口を塞いだ。私の頭の上には、?マークがポンポンっと、浮かんでた。

「まにゃひ。いひでひにゃい…」

「あっ、悪い悪い……」

愛美は、私から手を離した。私は、深呼吸した。

「で?ピ───って、何?」

「もう、いい加減にしろ!!」

総長様が、顔を真っ赤にして私に怒鳴る。私は、何よっと睨む。知らない事を聞いて何が悪いのよ…。

「お前な!ピ───、ピ───、ピ───うるさいんだよ!ピ───、ピ───言うな!ボケ!あのな!ピ───何か、いつか分んだよ!そんなにピ───に興味あんだら、そこら辺の親父に、ピ───って何ですか?って聞いてこい!バカ!」

「お前が、一番ピ───って言ってんだよ。バカが。いっぺん、死ね」

尚矢が、総長様の頭を軽く殴る。そして、私に近付いて。

「お前、ピ───知りてぇのか?……そんなに、知りてぇなら、俺が教えっ…」

尚矢が、話してる途中に。また意識を無くした。そっーと、後ろを見ると。笑顔の雪斗がグーを作ってた。

「ねぇ?優花。コイツ殺してくるから、コッチに渡して?」

私は恐怖を感じて。ダメっと何回も断った。雪斗は微笑みながら尚矢の髪の毛を掴んだりして、私から引き剥がそうとしてきた。

でも……、そんな。くだらない時間は少しずつ。でも確実に過ぎていき。

私達は夏休みちょっと前の、体育祭の本番の日を迎えた。