まず、最初に言っておきたい事がある。
私の学園には生徒会がある。それは皆にとっては普通。私にしても普通。

けれど、ちょっと普通と違うのが私の学園の生徒会委員は誰だか全校生徒が知らない。

……私の幼なじみは、秘密だけど生徒会委員の一人。これは、幼なじみ三人だけの秘密。

「優花ー。おはよー!」


朝から元気に歩道を走る、生徒会委員で私の幼なじみ風間雪斗。メガネで銀髪。目色は温かい太陽みたいな色。長身なのに、甘えん坊の男の子。

「おはよう。雪斗。…あれ?愛美は?」

愛美とは、海乃愛美。私と雪斗と愛美で、幼なじみ三人。学園では優等生。

裏では、日本全国でNo.1とNo.2を争う位に強い夜桜組という暴走族の総長だ。

愛美を怒らせたら凄い怖いんです…。

「愛美ね、朝から喧嘩してた。愛美に僕が邪魔だから先に学園行ってろって言われたから、愛美を置いてきた」

雪斗は、朝から太陽に負けない位の眩しい笑顔で私に説明してくれた。

雪斗は嫌みを言われている事に気付かないのかな……?

「そうなんだ。でも、愛美ならもう少しで学校に着くんじゃない?」

「そうだねー。愛美強い…」

「優花、おはよう」

雪斗が話している途中に愛美が来た。いつも通りピシッと制服を整えて。

「あれ?傷一つも無いじゃん。雪斗、嘘ついたの?」

私は雪斗をジロッと、睨んだ。

「嘘って何?優花」

愛美が何にも無かった事のように聞いてきた。

「愛美が朝から喧嘩してたって雪斗から聞いたの」

「ん?したよ?」

「えっ?だって傷一つも無いじゃ…」

「だって、ザコだったし?」

「うん。そうだね。愛美にとったらザコだよね。ごめん。聞いた私が馬鹿だった」

私が呆れながら、歩道を歩く。そして、いつものように平和に学校に行った。

……ん?平和じゃない?私にとっては、平和なんだ。

「雪斗、ごめんね?疑って」

「う~ん。じゃあ、許すけど一つだけお願いしていい?」

「うん。一つ位なら…」

「本当?じゃあ、今日の放課後に生徒会室で僕の仕事手伝って?」

「えー…。面倒くさい~」

「……優ー花。お願い……」

うっ………。そんなウルウル目で私を見ないで……。

「はぁ……。しょうがないな…。良いよ。愛美は?今日の放課後喧嘩ある?」

「あっ。ごめん。今日喧嘩あるんだ…。月光組の奴らと」

「そっか。頑張ってね」

「うん。任せて!」

「愛美、頑張ってね!僕、応援してるね」

「あぁ、はいはい。ありがとう」

愛美が棒読み&無表情で言った。相変わらず愛美さんは怖い。

「愛美って僕に冷たいよね…」

「まぁ、気にしない。気にしない。雪斗、時間になったら私の事を呼びに来てね。呼びに来ないと私帰るから」

「優花もヒドッ!」

「「………も?」」

「イエ、ナンデモアリマセン」

今日も平和に終わる…って思ってた私の期待を放課後に粉々に崩された……。