埒があかないと踏んだ蓮と私は、嫌だったけどマユさんにベッドを使わせて私達は居間に布団を敷いて寝ることにした。


マユさんが山影さんに叩かれた跡には冷却材を貼っておいたけど、見た限りはそんなに酷いようには見えない。

でも打ち所が悪ければ一大事だから、具合が悪くなったらすぐに起こしてとは言っておいた。


その私の言葉に対するマユさんの反応。

「アンタじゃなくてカレシの方を起こすから」


何を言い返す気力もなく、私は寝室のドアを閉めた。



一人用の狭い布団の中に蓮と一緒に抱き合って眠る。いつもとは違って、何だか落ち着かないのは蓮も同じだったみたいだ。



「……マジで嫌んなるよな……」


ぽつりと漏らした一言は、多分マユさんに対してなんだろう。


「……なんか、強烈な人だね、マユさんって」


強烈って言うか、できれば近くにいてほしくないタイプ。


あんまり今までにはこういう人とは関わった事ないな。


「もうどうでもいいや、あんな奴等の事なんか。早く寝よ。明日は早くに出かけてあの女放り出すから」


そう言って蓮は瞼を閉じた。でも、その手は私の頬を優しく撫でている。



その手から伝わる温かさに包まれて、私はゆらりと微睡みの中に落ちていく―――。