俺は必死に人をかきわけすすむ。

やっともう少しで井岡先輩に手が届く距離にきた。

やっぱり。
この電車、痴漢が多いって有名だしな‥

顔を赤くしてうつむいたままぎゅっと目をつぶる井岡先輩。
やっべ‥可愛い。

じゃなくて!!
俺はなんとかそこにいき、井岡先輩の後ろのサラリーマンにむかって言う。
「おっさん、そういうのやめなよ。」

そしてそのまま井岡先輩を身体ごと自分の方に引き寄せる。

細くて小さい身体が少し震えている。
優しく声をかける。
俺はそのまま井岡先輩の手をひいて降りた。