あたしはどうしてここに来たんだろう。

ただなんとなく…
昨日裕翔に会ってしまって
どうしようもないほどの気持ちが込み上げて……


自分を落ち着かせるためにこの場所に来た。


「せっかく踏ん切りをつけようと思ったのに……」


後ろから、少しうんざりしたような声。

だけどそれは、どこか温かみがあって……


「これこそが、運命なのかもな……」


そう苦笑交じりの声が聞こえた。


ポロポロと零れ落ちる涙。


神様は意地悪だ。

どんなに彼から離れようと思っても
決して離れられないように仕向けてる。

こんなんじゃ、いつまでたっても忘れられないよ……。


「泣いてんのか?」

「……っ」


ぶんぶんと首を横に振った。

だけど、


「うそつけ」


彼は少しだけあたしとの距離を縮めると、あたしが触れている水槽のガラスに手を置いた。