「おい、かまぼこ一個よこせ」 「絶対やだ!白和えみんなあげたからもういいじゃん!」 「駄目。かまぼこは母の形見」 「俺にとっちゃ家宝なのっ。臨俺のとりすぎ!」 かまぼこの所有権に関しての冒頭陳述を終えた時。 「お、桜かまぼこ」 「え?」 どこかから吹かれてきた桜の花びらが、ちょうど白いかまぼこの上に乗った。 「ほんとだ……ちょっ、とらないでよっ!」 「はいお裾分け」 花びらをクイの頭に移してやると、クイはそおっと手をやって、それをつまんだ。