青春部はじめました



「・・・」


「・・・」


沈黙の中、虫の鳴き声だけが周りに響いていた。


「・・・なぁ、柚希」


「ん~?」


「その・・・なんであの時寂しそうな顔したんだ?」


「あの時?」


「肝試しで俺と真理奈が帰ってきた後」


「あぁ、そのことね・・・」


数秒の沈黙の後、柚希が口を開いた。


「ねぇ、空くんって真理奈ちゃんのことどう思ってるの?」


「は?」


「私、空くんは真理奈ちゃんのこと好きなのかなって、肝試しの後あらためて思ったんだ。
ねぇ、好きなの?」


ぐいっと体が触れるぐらいまで距離を縮めてくる。


「は、はぁ?
何でそうなる・・・。
てか、俺の質問には答えてねぇじゃんかよ・・・」


「空くんが答えてくれたら答える」


「何だそれ・・・。
・・・真理奈のこと、好きとかそういうのはまだわからない。
けど、時々すっげぇキラキラしてるように見えたり、ほっとけないって思うことはある」


「・・・ふ~ん。
まだってことは、いずれ好きって気づくかもしれないってことか・・・」


「え?」


「ううん、なんでもない」


そう言ってまた元の位置に座り直した。


・・・何で柚希がこんなことを聞いてくるのかわからない。


「あっ、俺答えたんだから、柚希も言えよ」


「や~だ」


「はぁ?」


「だって私が求めてた回答じゃなかったんだもん」


「私が求めてた回答って・・・」


どんなだよ。


「だから、言わない」


「せこいぞ、それ!」


「・・・いずれ言わなくても、わかる時が来るよ・・・」


「え?
今なんて?」


「二度も言いません~。
じゃ、私そろそろ寝るね。
おやすみ~」


立ち上がってパサッと渡したタオルケットを俺の膝の上に返して、柚希は言い去って行った。


たくっ・・・なんだったんだよ・・・。


もやっとした感情だけが取り残されて、俺は朝まで眠りにつくことができなかった。