青春部はじめました



だがそうそう簡単にはいかなかった。


14対14。


同点という危ない状況。


「思ったより強いね、真理奈ちゃんのチーム」


「だな、俺もなめてたよ」


ホント、バレーってこんなにしんどいもんだっけ?


そりゃあ、ある程度汗はかくけど・・・。


あぁー、あと二点。


どっちが取ったとしても恨みっこなしだ。


「・・・!
柚希!!」


「え、へっ!?」


ボールは俺と柚希の微妙な間に落ちて行った。


「ご、ごめん」


「いや、取れなかった俺も悪かった」


あと一点取られたら俺たちは負ける・・・。


「ピー!」


相手のサーブが向かってくる。


協力してボールを相手コートに返したとき、相手の選手がボールをトスして上にあげ、真理奈がアタックをして返してきた。


その時


「ドカッ」


「……!!」


うそ…だろ…。


真理奈が打ったアタックは、俺の顔面にクリーンヒットした。


「「空くん!?」」


柚希と真理奈の声がハモる。


ボールは、地面に落ちていた。


「ピー!
試合終了!
勝ったのは、BCチーム!」


それを聞いてBCチームはわー!!と盛り上がる。


俺たちのチームは悔しそうにうなだれていた。


その中の二名を除いて…。


「空くん!」


「空くん、大丈夫!?」


ボールが当たってからずっと横たわっている俺の元に、柚希と真理奈が駆け寄って来た。


「ごめんなさい、空くん…!」


「大丈夫?
鼻折れてない?」


「二人とも、そんな心配することないよ…。
少し痛むけど、こんなのすぐ治る…」


鼻と口を隠すように手でおおいながら起き上がって座る。


すると、ポタポタっと赤い液体が垂れた。


「ヤバ…。
鼻血だ…」


それを見た柚希は、素早く保健委員を呼んで、応急手当をした。


ティッシュを摘めて、なんとか血が垂れるのはふせげた。


負けたことだし、俺と柚希は次に出る真理奈を応援するため、舞台の上に上がった。


あいにく俺は鼻血を止めるために、横になるけど…。


真理奈は次の試合があるにもかかわらず、ずっと俺の側にいた。


「空くん…」


「……」


せっかく勝ったのに、なんて顔をしてるんだ…。


「真理奈、そんな顔しないで。
笑いなよ、そっかく勝ったんだから…」


「勝ったけど、嬉しくないです…。
空くんにケガさせてしまって…。
とても喜べる気分じゃありません」


「……。
気にしなくていいって言っても、真理奈はずっと気にするんだろうね。
じゃあさ、これだけ約束して」


「約束…?」


「俺の代わりに、精一杯がんばってくること。
それと、できたらでいいから優勝すること」


「…最後のは重いですね」


「そう?
俺は真理奈のチームなら優勝できるって思ってるから」


「…わかりました。
約束します。
絶対勝って帰ってきます!」


「うん」


胸の前で拳を作り、さっきまでの悲しい顔とは変わって、今は希望に溢れた様な瞳をしていた。


そんな真理奈に笑いかけながら頭を撫でる。


「……っ!」


真理奈は俺が撫で終わるのと同時に、赤面してぴゅーとチームに戻っていった。


真理奈って、頭なでると顔が赤くなるのかな…。


そして意外に逃げ足が早い…。


「真理奈ちゃんばっかり、いいな…」


ボソッと何かを呟いた柚希の声は、上手く聞こえなかった。


「何か言った?」


「何にも~」


プイッと俺に顔を背けて、小さく頬を膨らます。


………?