私はまた鍵を掛けて、
お母さんに遭遇せぬように
一刻も早く家から離れようと
必死で自転車を走らせた。



彼が住んでいるアパートに着くと、
急いで階段を駆け上がって
302号室へ向かった。


「随分慌てて来たみたいだな。
どうかしたのかい?」

『早くここに来たかったから…』

私はふぅー、と大きく息を吐いて
パンパンの大小のカバンを下ろした。
まるで駆け落ちみたい。

時計を確認すると、
自分の家に帰ったときから
1時間ちょっと経っていた。

ギリギリセーフ・・・!
もう、お母さん帰って来たかな?


『足りないかもしれないけど、
食材もいくらか持って来た』

そう言って、
ラップに包まれたご飯や
コーンスープの素などを
出して見せた。

「ありがと」