……どのくらい経っただろう。


俺を包む河が、ゆるゆると俺をどこかへ運んでいる。官能的なリズム。


―「無」の世界へ?黄泉の世界へ?


「いいえ。怖がらないで。行きましょう。皆が待ってる」


―皆?


「ひとつになるの。『私』という呼称すら存在しない、ひとつの流れに」


―俺はどうなる?


少し間をおいて、小さな小さな返事が届いた。


「創造主に、なる」


その刹那、「俺」をたくさんの「手」が包み込んだ。


星の歩みと共に大地へ還っていった数多の魂たち。


最後に、俺は誰にともなく尋ねた。


―俺って……何だ?


「命、そのもの。全てが……あなた自身」