「え、でも……」 坂井も運転席に乗り込んだものの車が発進する様子は全くない。 ……でも、ってなに!? 今は冬哉と帰りたくないし、顔も見たくないのに! 「早くしてよ!」と坂井を急かしていると、背中に走った悪寒。 ……イヤな予感がする。 「は、早く車出して!」 私はとっさにそう叫んだ。