「ねぇ、冬哉先輩。花火いっしょに見ませんかぁ?」



………ほらな。



こういうのが面倒なんだ。



俺は猫被ってたから、こういう時は優しくやんわりと断っていたが。



「お前となんか見ねぇから」



つーか、名前も知らねぇし。



わざわざ3年のテント近くまで来るとか鬱陶しい。



「……冬哉先輩!?」



女は目を丸くして俺を見る。



……ま、そうだろうな。



今までの俺だったら、もっと優しく断ってたしな。



一瞬、寒気が襲う。