「やめるなら今からでも遅くねぇよ」





晴の言葉に俯いていた顔を跳ね上げた。





「やめないよ!怖くてもやるって言ったらやるの!!」





ちょっとムッとしたあたしは息を吸い込んで大きな声で言った。



思ってたんだけど、晴ってこの間から、あたしにバイトさせたくないみたいだよね?

あたしは晴と一緒にバイト出来るっていう点では、すごく喜んでるのに…。





「晴が守ってよ!」


「…は?」


「もしあたしがイケメン店員達の前で固まっちゃったら、守ってよ…」


「……」


「今日からはバイトとして行くんだから、イケメンが近いくらいでいちいち固まってはいられないから……あの…だから……」


「……」




最初は強気だったのに、だんだん語尾がしぼんでいったあたしの言葉に、晴は呆れた様な溜息を吐く。





「何が守ってくれだよ。お前、バイト中の俺は怖いんだろうが?」





バイト中の晴はイケメンバージョンだからってこと言ってるんだろうけど。





「えっ?晴のことは怖くないよ!」





びっくりしてそう言うと、晴は不機嫌に眉を寄せた。





「嘘吐け、昨日は顔合わすなり敬語だったし、初めてきた時も俺の顔間近で見て後ずさりしてただろ?」


「違うよ!昨日は店を覗いてたのが見付かってバツが悪かっただけだし、初めて行った時は店長が『ハルもイケメン』とかいうから条件反射だよ…」





言い終わってからバツが悪くなる。

晴はあたしを無言のまま見てる。




あたしなんでこんなにムキになってるんだろ?

でもどうしても、あたしが晴を怖がってる。とか思って欲しくない。