【完】ヒミツの恋を君と。

晴が少し目線を逸らせながらバツが悪そうに口を開く。





「…いつも朝、いろいろ買ってきてくれるだろ?…そのお礼だよ」


「おぉぉぉっ!?!?お、お、おれ……ふぐっ!?」





あたしが「お礼!?」って叫ぶ前に、晴は他のお客さんから見えないようにあたしの口を手で塞いだ。




似合わない。

似合わないよっ!



傍若無人な晴様に「お礼」って言葉は不似合いです!




それにしても2回目だよね。


ここで口塞がれるの2回目だよっ!





ジタバタするあたしに眉間を寄せた晴の顔がグイッと近付いて…、





「うるせぇよ!他の客に聞こえるだろ?大人しく黙っておごられとけ!」


「…☆※□!?」





なぜに今、脅されてるのでしょう?


わからないけど、その迫力に負けて口を塞がれたままうんうん頷いた。





うなるほどおいしかったオムライスを食べ終えた頃には、もう閉店時間になっていて、お客さんも帰り終えていた。





「桃佳ちゃん待ってってね。こいつらのまかない作ったら話し聞くから」


「はい」





店のシャッターが閉められて、リツキさんが食器の後片付け、晴とトウヤさんが掃除をし始めて、あっという間にすべてが片付いた。



隅のテーブルにバイト3人分のまかないのオムライスが置かれて、晴とトウヤさんとリツキさんが食べ始める。




バイトの後にまかない付なんだ。

店長の料理が好きな晴にはたまらないバイトなんだろうな。




晴が大きな口を開けておいしそうにデミグラスソースのオムライスを食べてる。