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あたしは小さい頃から、友達を作るのが苦手な内気な子で、どうやって人に混じったらいいのかわからなかった。



そんな性格や性格そのままの風貌のせいで『変わり者』と、人に冷たくされる内に、余計に人にバリアをはるようになってしまった。



そんな人間関係から身を守るために、休み時間ですら人と関わらずに、漫画や小説片手に、二次元の世界にどっぷり入り込んで逃げ込んでたあたし。



そうして二次元に逃避することで、友達ができない寂しさを、ごまかしてたんだと思う。



でも、中学2年の時。





『吉丘!お前もこの漫画好きなの?マイナーだけど俺もこの漫画、すげー好きなんだよな。俺ら気が合うんじゃね?』




そんな風に言って笑いかけてくれたのが、晴と読みが同じの“春(はる)”だったんだ。





彼の名前は、北村春(きたむらはる)。




春は短髪の黒髪で笑顔が似合うとにかく元気な男子。

野球バカで、友達がいっぱいいる人気者だった。




そんな春に初めて声を掛けられた時は、からかってんのかな?とか、友達とのバツゲームであたしに話しかけて来いとか言われたのかな?って疑ったけど、そうじゃなかった。





『みんな“春”って呼んでっから、吉丘もそう呼べよ』


『…う、うん』




そんな風にあたしにも周りに接するのと同じように接してくれた。