「こいつにさわるな!」





目の前には、よく知ってる大きな背中。

その背中があたしを祐樹先輩から守るように立っている。




晴──




晴が目の前にいる。

驚きすぎて声にならない。



晴は掴んでた祐樹先輩の胸ぐらを突き飛ばした。


祐樹先輩がしりもちをつく姿勢で地面に倒れこむ。





「桃佳には手を出すな!俺は何でも受け止める。でも、桃佳だけは駄目だ!」



「……」


「お前のこと嫌いにはなりたくはねぇんだよ!」





晴──


目の前で荒く息をしてる晴の背中。


それは、普段の晴からは想像できないほどの焦ったような口調で。



『桃佳には手を出すな!』あたしはこの言葉に息も出来ないほど驚いてた。



突き飛ばされた祐樹先輩も驚いた顔をしてそんな晴を見上げてる。



2人が目線を逸らさない中、今度は倉庫のシャッターがガガーっという大きな音を立てて上に大きく開いた。



あたし達の下に夕日のオレンジの光が流れ込んでくる。


逆光に目を細めた視界に入ってきたのは5人の人影。