【完】ヒミツの恋を君と。

「なぁ、無銭飲食ちゃん。まさか一生懸命生きてる苦学生を、センコーに売るようなマネはしねぇよな?」


「えっ!?」





顔を上げると店長が不敵な笑みを浮かべてる。

その顔が不良っぽい。そして『センコー』って……この人絶対若い頃、悪かったタイプだよ。



店長に返事しようと口を開きかけた時、今まで話さなかった晴が口を開いた。





「いや、そんな約束する必要ねぇよ。もしも俺がバイトしてるのを知ってて、かばったのがバレたら、お前も同罪で停学になるし」





そう言えばそんなことも校則に書いてあった気がする。


私立の進学校のうちの学校はとにかくバイト関係には厳しいから。




無言で晴の顔を見上げると、気にすんな。って顔してる。


その顔を見て心に何かがしっくりはまる。



晴があたしのことを心配してくれてる。


そう思うと、心がぱぁっと明るくなる様な感覚を覚えた。




「もちろん晴を売る様なマネはしません…だって……」


「『だって』?」





店長が首を傾げて続きの言葉を待ってる。

これをここで言ったら晴には鼻で笑い飛ばされるかもしれないけど。


でも、言いたいって思うから…。






「あたしだって晴のことを応援したい。だって、晴は大切な友達だから!」





初めて口にしたその言葉は、あたしの中に浸透していく。




店長に向かって言ったその言葉だけど。

晴がこっちを見た気配を横目に感じた。




でも、笑い飛ばしもせず、否定もしない晴に、自然と口角が上がっていく。