【完】ヒミツの恋を君と。

店長は、少し離れたところであたし達の様子を、ニコっと笑いながら見てる。


“無銭飲食ちゃん”?


とんでもないニックネームを付けられて固まっていると、その店長がまた口を開いた。





「晴、その子、同じ学校の子?」


「あぁ…うん」





『うん』って……晴はどう見てもすごく年上の人にタメ口だよ。





「ねぇ無銭飲食ちゃん、晴がここでバイトしてること誰にも言わないでやってくれるかな?」


「え?」


「……」


「晴は遊びの金欲しさにバイトやってるんじゃないから。大学の資金を貯めるんだよな?」


「そうなの?晴」


「……」




その顔を覗き込むけど、晴は困った顔をしたまま黙ってる。




「晴の行きたい大学は実家からは遠いから1人暮らしにもなるし、親に頼らず全部自分で何とかしようとしてるんだよ。こいつ」


「遠い大学……?」


「バイトして、家帰ってから夜遅くまで勉強して…そんな晴を、俺は応援してやりたいと思ってる」


「……」





そっか、晴が朝からよく眠っていたのってそのせいだったんだ?




すごいよ晴。

そんな風に自立しようと一生懸命頑張ってたなんて。




あたしなんて1人暮らしさせてもらうのを当たり前の様だと感じてた。

大学も授業料払ってもらって当然と思ってた。