【完】ヒミツの恋を君と。

その顔は全然信じてない…よね。


でも、まさか晴がBLかどうか確かめたくて尾行してました。なんて口が裂けても言えない。




「目泳いでるけど?」


「そ、そんなことないよっ!」


「そこでキレると余計に怪しいよな」


「そ、そ、そんなことより、晴はどうしてそんな感じになっちゃってるの?」




そう、どうしてそんなイケメンになっちゃってるのかとか、なんでこんな所でバイトしてるのとか、聞きたいことはいっぱいある。



うちの学校ってバイト禁止だよね?

確か停学とか?退学とか?真木先生が言ってたよね。


それよりもなによりもあたしが聞きたいのは…。




「どっちが本当の晴なの?」




ボサボサ頭の晴とイケメンの晴。


普通に答えてくれると思ったのに、晴は少し目線を逸らせてから口を開いた。




「…さぁ?どっちだろうな?」


「え……」




自分のことなのにわかんない訳ないじゃん!


そんな風に明るくつっこみたかったけど、晴の目がほんの少し寂しそうに見えてそれ以上何にも聞けなかった。


静かな空気が部屋に流れた時、ガチャっと扉が開く音がして、あたしと晴はそっちに目線を向ける。





「おー、ハルー、“無銭飲食ちゃん”の件はどうなった?」





入ってきたのはさっき晴が店長と呼んだアラサーイケメン。