「まぁまぁ、あんまりうちのモカを苛めないであげて下さいよ」



そう言ってトウヤさんの反対側から絡み付いてきたのはリツキさん。


お客さん達はリツキさんが言った『うちのモカ』に反応してキャーキャー言ってる。



「リツキくんもモカくん狙いなのね!?」


「モカくんが浮気──!」



店中のお客さんが騒ぎ出した頃、晴がこっちに向かってきた。



「…おい、下っ端、サボってないで働け!」


「…っわ!?」



晴が、トウヤさんやリツキさんからあたしを引き離すように腕をグイっと引っ張った。



「キャーハルくんのヤキモチよー」


「もう、ハルくんったらモカくんにベタ惚れなんだからっ」



ズキッと痛む胸。

こんなの軽く流せば済むのに。