「あ、そうだ、これあたしのアドレス。よかったらそこにメールして。また晴くんのこと相談に乗って欲しいし」
美月先輩が体操服のポケットから、小さなメモを取り出してあたしに手渡した。
真っ白な頭のまま受け取ったそのメモは、ピンク色で花の模様が付いている。
笑顔の可愛い美月先輩らしいメモだなってぼんやり思った。
「じゃあ、またね!」
美月先輩が立ち去っても、あたしはしばらくそこから動けないでいた。
晴と初めて出会った始業式の日の、屋上でしたやり取りを思い出す──…
『何と呼んでくれても構わねぇから、早く寝かせてくれよ。そうじゃなきゃ俺はお前のこと“カッパ”って呼ぶから……』
『え?“カッパ”!?』
『髪形…おかっぱで、カッパ……』
胸がギュッと痛い。
痛いよ……晴。
頭の中が真っ白なまま階段を上る。
1歩1歩がとても重く感じて、泣きたくなった。
グラウンドから聞こえてくる歓声。
それがとても遠く感じる。
手にギュッと力を入れるとカシャっと紙の刷れる音がして。
美月先輩からもらったメモを持ったままだったと思い出してそれをポケットの中に突っ込んだ。
気付けば、屋上へ続く扉の前。
「晴…」
扉に向かって声を掛けるけど、返事がなくて。
ここじゃないのかな?
そんな風に思いながらも、ドアノブに手を掛けて引っ張ってみた。
開いた。
瞬間、眩しい光と共に爽やかな風があたしを包む。
目の前に広がる空は泣けそうなほど真っ青だった。
美月先輩が体操服のポケットから、小さなメモを取り出してあたしに手渡した。
真っ白な頭のまま受け取ったそのメモは、ピンク色で花の模様が付いている。
笑顔の可愛い美月先輩らしいメモだなってぼんやり思った。
「じゃあ、またね!」
美月先輩が立ち去っても、あたしはしばらくそこから動けないでいた。
晴と初めて出会った始業式の日の、屋上でしたやり取りを思い出す──…
『何と呼んでくれても構わねぇから、早く寝かせてくれよ。そうじゃなきゃ俺はお前のこと“カッパ”って呼ぶから……』
『え?“カッパ”!?』
『髪形…おかっぱで、カッパ……』
胸がギュッと痛い。
痛いよ……晴。
頭の中が真っ白なまま階段を上る。
1歩1歩がとても重く感じて、泣きたくなった。
グラウンドから聞こえてくる歓声。
それがとても遠く感じる。
手にギュッと力を入れるとカシャっと紙の刷れる音がして。
美月先輩からもらったメモを持ったままだったと思い出してそれをポケットの中に突っ込んだ。
気付けば、屋上へ続く扉の前。
「晴…」
扉に向かって声を掛けるけど、返事がなくて。
ここじゃないのかな?
そんな風に思いながらも、ドアノブに手を掛けて引っ張ってみた。
開いた。
瞬間、眩しい光と共に爽やかな風があたしを包む。
目の前に広がる空は泣けそうなほど真っ青だった。


