【完】ヒミツの恋を君と。

でも、次の瞬間美月先輩の表情が曇る。



「本当に幸せだったのに……あたしが悪いの。あたしが晴くんを裏切ったから」


「え?」


「高校入ってすぐの頃だった。祐樹くんに言われたの──…」




『晴の本当の父親は、無感情な冷たい人間で、女癖の悪い最低な男』


『晴はそいつの血を引いてる。美月以外の女にも手を出してる』





「そ、そんなっ!晴はそんな人じゃない!」





思わず声を荒げてしまった。


そんなあたしを見て、美月先輩の表情が少しこわばった。





「あの時のあたしは不安でしょうがなかったの」


「……」


「晴くんは基本無口で、何考えてるか分からなくて、あたしは、晴くんがあたしのこと好きなのかどうなのかもよく分からなくなってた」


「……」


「そんな時、祐樹くんに『晴とお姉さんはそういう関係だ』って言われて……」





目を見開くあたしに、美月先輩は、「結局、祐樹くんの勘違いだったんだけど」って苦笑いした。





「でもその時のあたしは信じてしまって、ショックで自棄になって、祐樹くんとそういう関係を……持ってしまったの」