【完】ヒミツの恋を君と。

「こちらはメニューです」


「は、はいっ…」




渡されたメニューをカチコチな両手で受け取った時、事件は起こった。




「……へっ!?」




メニューを持つあたしの手に温かい何かが触れて、ビクッと大きく体が跳ねる。



手?手?手ぇぇぇぇっ!?

何故か、イケメンスタッフさんがメニューを持っているあたしの両手に手を重ねてきた。




思わず顔を跳ね上げたあたしの目に飛び込んできたのは、最上級の輝きを放った笑顔……。


眩しいデス!





「君はこのお店初めてなんだね?」


「は、は、は、はぃ……」


「真っ赤な顔、可愛いね。男に慣れてないの?」


「あぅ、あ、あ、あぅぅ……」




あまりの驚きに変な声(音)しか出てこない。


セ、セ、セ、セ、セクシャルハラスメント!!!

こんな風に手を握ってくる店員なんて、お、お、お、おかしいっ!



でも多分、はたから見たら、あたしの方がイケメンに興奮して鼻息荒い変質者。





それくらい目の前の笑顔は犯罪を犯しても無罪になりそうなほど、キラキラしてて無敵な感じ。





世の中は イケメンなんでも 許される
(桃佳 心の川柳)




あたしや晴はちょっとしたことで、変人扱いされる部類だよね!



「メニュー決めてちょっと待っててね。次のスタッフがオーダー取りに来るから」



やっと解放された手にホッと息を吐き出す。

そのセクハラスタッフは、あたしの斜め前のテーブルのOLのお姉様のとこにいった。