【完】ヒミツの恋を君と。

「あの日、どこかであったことある子だなって思ってたの。メイクしてたし、髪型が違うから気付かなかったけど」


「……」


「晴くんに、教科書届けに来てくれた子だよね。名前はなんていうの?」



もう、ここまでバレてるなら嘘つけない。

晴、ごめん……。



「…吉丘…桃佳です」



躊躇しながら答えるあたし。

美月先輩はあたしの表情を伺うように質問した。




「え?“よしおか”さん?」



「あ、はい。“よし”は普通に大吉の吉ですけど、“おか”砂丘の方の丘です」





こんな細かい説明いらないんだけど、極度の緊張のあまり、思わずいらないことを言ってしまった。





「あ、そうなの…」



「…はい」



「…えっと…吉丘さんは、晴くんの彼女なの?」



「……いえ、違います」




胸がモヤモヤとする。



「じゃあ、晴くんのこと好き?」


「……そんなんじゃないです」


「そっか、よかった」


「……」



ホッとしたような笑顔を見せる美月先輩。


『よかった』って言葉がすべてを物語ってる。


やっぱり美月先輩は晴が好きなんだ。