【完】ヒミツの恋を君と。

晴が家族と離れることが避けられないことなら、その家族の変わりになって晴を支えてくれる人が必要だと思う。


たとえば友達とか。

恋人とか…。





「桃佳が行けばいいと思うのよ」


「はい?」


「だから、休みのたびに桃佳が東京に行けばいいじゃん?バイト代があれば何とかなるでしょ?」


「……え、」


「1週間に一度桃佳に会えるって思ってたら、ハルさんだって寂しくないだろうし。…そうだ!桃佳も東京の大学に進学しちゃえばいいじゃない!なんだそれでいいじゃん!」





いいこと思いついたあたしって天才!と盛り上がってる塔子。



あたしだって本心では、塔子の言うように晴を追いかけて行きたい。

晴が迷惑じゃなければ……ね。





「あぁぁぁぁぁっ!!でもっ!!!」


「な、なに急に?」





塔子が急に叫ぶからびっくりした。





「私!桃佳が東京に行っちゃうのイヤかも!桃佳と離れ離れになるなんて寂しいもん!!」


「行かないよ」


「いや、でも!桃佳の幸せの邪魔したらダメだよね……でも、寂しいっ!どうしたらいいの─あたしは──」





そう言いながら涙目で、あたしに抱きついてくる塔子。

塔子のその言葉は嬉しくて、あたしの心を優しく包む。




素直に気持ちを口にする塔子が羨ましいって言ったらまた言われるだろうな。





『素直に言っちゃえばいいのよ』って。