【完】ヒミツの恋を君と。

「…晴、夏休み後の実力テスト結構良かったんだって」



夏休み、うちであれだけ勉強してた姿を見てたんだから、それを喜んであげなくちゃいけないんだけど…。



「そっか、じゃあハルさん東京の大学の指定校推薦、取れそうだね」


「…うん。取れると思う」



晴の指定校推薦の校内選抜の結果は9月末には出る。


もうすぐすべてが決まってしまう。



「なるほど、浮かない顔の原因はそれ?」


「……最低でしょ?あたし」


「そっか?普通でしょ」



塔子の言葉に顔を上げる。

ニッと笑うその顔は、いつもあたしに元気をくれる。



「でも、東京行ったらハルさん本当にひとりになっちゃうね」


「え?」


「まぁ、そもそも一人暮らしって、親や友達と離れるから孤独なものなんだろうけど、でも、ハルさんの場合は家族と距離を置くために東京に行くんだよね?」


「……」


「自由に帰れる家がある人とは違う。でしょ?」