【完】ヒミツの恋を君と。

あれっ!!またいない??




少しだけ視線を逸らした隙に、晴の姿は完全に見えなくなっていた。

さっき晴を見失った辺りにとりあえず来てみるけど。




見渡すと周りには、飲食店だったり、雑貨屋、セレクトショップなんかが並んでいる。

どの店も個性的でおしゃれ。




晴とは無縁のお店ばかりに見えるけど?

この辺り、塾みたいなのはないし、お店ばっかりで家って感じのものもない。




完全に見失った……仕方ない、帰ろうかな。




そう思った時、1軒のカフェが目に入った。



カフェの前にはイーゼルが立てられていて、そこにはメニューが乗せられている。



おなか空いたな。

夜ご飯には早いけど、このオムライス食べて帰ろうかな。





でも、1人でこういうお店に入るのとか初めてだから緊張する……ん?




Cafe Precious

カフェ プレシャス!




このカフェの店名、あたしが大好きな海賊漫画の海賊団の名前だ!

一気にテンションの上がったあたしは、そのカフェの扉を開いていた。




「いらっしゃいませ」





扉を開けた瞬間、スタッフの声が店に響き渡る。

そしてスッと目の前に男性のスタッフが現れた。




「お1人様ですか?」


「あ、は、はい……」




思わず、キラキラの笑顔のそのスタッフから思いっきり目を逸らせて、俯いてしまった。



世に言うイケメンってやつ。

しかもかなりのイケメン。



今まで地味な見た目人生を歩んできたあたし。

あんまりイケメンにはいい思い出がない……。



そんなこんなでイケメン恐怖症のあたしは、イケメンを目の前にすると必要以上に緊張してしまう。





イケメン怖い…。

怖いよぉ────っ!





案内された席では、そのイケメンスタッフさんがイスを引いてくれたんだけど、不自然な程ガチガチのまま、その席に座った。