目の前に立つ美月先輩をただ呆然と眺めてた。



ピンク地に花の柄の浴衣を着て、

長い髪を綺麗にアップにしてる美月先輩。



その澄んだ瞳が晴を見つめてる。




「お祭りに来てたの?」


「あぁ…」




あたしを隠す様に一歩前に出る晴。

繋がれてた手がそっと外された。


多分さっきの角度からじゃ、あたし達が手を繋いでたこと、美月先輩には見えてないと思う。




晴の温もりの消えた手は、真夏なのに酷く冷たくなっていく。




「祐樹は?」




いつもより低い晴の声。




「ううん、今日は友達となの。向こうで待ち合わせ」


「…そ」




晴の肩の力が少しだけ緩んだ。


その背中をジッと見つめるけど、晴の背中は何も語ってくれない。



ねぇ、晴、今何考えてる?