「お、今度はイケメンの兄ちゃんが挑戦かい?」


「うん」





おじさんが晴に話しかけた。

晴は水槽を覗いて、金魚を物色しながら、生返事をしてる。





「にしても、兄ちゃんの彼女べっぴんさんだねー」


「うん」


「へぇっ!?」





おじさんが言った『べっぴんさん』に、晴が『うん』って返すから、驚いて変な声が出てしまった。


そんなあたしを振り返って、怖い顔を作る晴。





「お前うるさい。金魚がびっくりして逃げるから静かにしてろ」


「ご、ごめんなさい…」





晴がまた水槽に視線を戻す。


この様子だと、さっきのおじさんの言葉にもきっと生返事だ。

何に『うん』って言ったか覚えてもないんだと思う。



はぁ。と息を吐いて顔を上げるとおじさんと目が合った。