【完】ヒミツの恋を君と。

数メートル先に明るい光が連なってるのが見える。


お祭りだ。


楽しく過ごしたいから、機嫌を直して欲しいけど、どうしたら機嫌を直してくれるかなんて分からない。


でも、さっきは素直な気持ちを口にしたら、晴がそれに応えてくれたんだから、今も……。


そして、握られたままの手が、あたしに力をくれる。



お祭りの光の中に2人で入り込んだ瞬間、その手をギュッと握り返してみた。





「晴がトウヤさんから助けてくれた時、あたしすごくすごく嬉しかったよ。ありがとね」


「……あぁ」





やっと、晴の眉間のシワが薄くなる。


晴の心を緩めたのは、お祭りの空気か、あたしの言動か、それは晴にしか分からないけれど。


その反応に、胸がじわじわ温まっていく。





「お前なにから食いたい?」


「最初は食べ物からって決まってるんだ?さすが晴…」





晴には食べ物の屋台しか目に入ってないのかと思うと、晴らしくて笑ってしまう。





「…食い物以外になんもないだろ?」


「そ、そんなことないよ。くじとか、射的とか?」


「まさかお前、スーパーボールとか剣とかが欲しいとか言い出すんじゃねぇだろうな?」


「えっ!?」





横を通り過ぎる子どもが持ってた景品を見ながらそう言った晴。


言われてみたら、いらないな…。