【完】ヒミツの恋を君と。

「本当にお前は、お人よしって言うか、バカっていうか……」


「バカ!?」


「バカだろうが?イケメンが怖いとか、人間関係が苦手とか言っときながら、ちょっとでも親しくなると、相手の無礼でも何でもすぐに許す所があるじゃねぇか!」


「……」


「バイトするって店に言いに来た日も、店長にあんなことされたのに、次の日来た時には何もかもケロっと忘れたように店長と接してるし」





店長に胸を触られたことを言ってる?





「今日のみんなの行動に対しても怒ってる様子ねぇし。お前がのほほんとしてるから、みんな図に乗っていろいろして来るんだよ」


「……」





みんなの行動って、店長とリツキさんに手の甲にキスされたことと、トウヤさんのキス未遂?


晴をそっと見上げると、機嫌の悪そうな横顔が見えた。


晴にしては、一気に喋ってて、本気で怒ってるのが分かる。


でも……、





「お前は…俺が真剣に話してんのに何笑ってるわけ?」


「や、違うよ!で、でもさ…」


「でもじゃねぇよ」


「ご、ごめんなさい…」




晴が今、そんなに真剣に怒ってくれてるのはあたしのことを思って心配してくれてるんだよね?


あたしのことを思って。


そんな風に思ったら、ちょっと嬉しくなっちゃったんだよ。



そんな事言ったら、晴の神経を逆なでして、また説教されそうだから言わないけど…。