【完】ヒミツの恋を君と。

あたしと一緒に行ってくれるの?

2人で?


ドキドキと胸が痛いくらいに騒ぎ始める。





「うあぁぁぁっ!モカにフラれたー!」


「当たり前でしょ!キスなんかしようとして!このエロ兄貴!」


「そうだそうだ!トウヤお前のせいだ!」


「ロリ従兄もいい歳して参戦してんじゃないわよ!」


「塔子ちゃん酷い…」


「あたしリツキさんとカップルになるから、エロ兄貴とロリ従兄は仲良く祭りを楽しんでね!」


「「えぇっ!?」」





そんなやり取りが背中に聞こえる。


扉をくぐる前に振り返れば、みんなが笑顔で『いってらっしゃい』と言うように手を振ってくれた。



もしかして、みんなあたしのために芝居をしてくれてたのかな?


あたしが素直に『晴と行きたい』って言えるように仕向けてくれたのかな?



ありがとう。



今日はみんながくれた時間を晴とめいっぱい楽しむね。







薄暗い町並みを、お祭り目指して晴と2人で歩く。


カラコロといつもと違う足音に、いつもよりゆっくり歩いてくれる晴。



いつもより近い距離。

繋がれたままの手が熱い。

やたらと早い心臓の音は、その触れ合う手から気付かれてるかもしれないな。




気付かれるのは恥ずかしいけど、この手はあたしからほどいたりは絶対にしない。




晴も離す気配はなくて、強く握り締めたまま。


その事が余計にあたしの心臓の音を早くする。