【完】ヒミツの恋を君と。

晴の手が、あたしの口元から離される。

でも、体は引き寄せられたままで。



あたし今、みっともない程、緩んだ表情をしてるんだと思う。


でも、今こそ、素直になる時だよね?





「ごめんなさい。あたしは、晴と行きたい…です!」





…声が震えてしまった。


晴がこちらを見てるのを横目で感じる。

でも、その顔は見上げられなくて…。




だって、言ってしまってから、急に不安になってきたから。


塔子にも、あたしにも、ペアになってと言われて、晴は困ってるかもしれない。

それにもう、塔子と一緒に行く約束しちゃったかもしれないし…。



そんな風に思ってしまうと、返事をされるのが怖くて晴の顔を見上げられない。



俯いたままでいると、右手が誰かにギュッと掴まれた。


驚いてその手を見つめる。





「あ…」





晴があたしの手を握ってる。



その顔を見上げると、晴はあたしを一瞬見てから、そのままみんなの方に向かって一言言った。





「いってきます」




それだけ言って、あたしの手を繋いだまま、出口に繋がる扉に向かって歩き出した。