【完】ヒミツの恋を君と。

え?


そのまま体は後ろに引っ張られて、背中が何かにぶつかった軽い衝撃を感じる。

店長とリツキさんに掴まれてたはずの手はいつの間にか離れてて…。





唇に触れたのは唇の感触じゃなくて、大きな手の感触だった。

そう、トウヤさんの唇から守る様に私の唇を守る手のひら。



あたしはこの手を知っている。



以前、お客さんの前で『あたし』と言いそうになった時にあたしの口を塞いだ手。

あたしの頬に触れたことのある手。





「あ、ハル!邪魔したな!」




トウヤさんの声に反応して、見上げると、晴が不機嫌な顔をして立っていた。


あたしの口を塞いで、自分の方に引き寄せたのは晴だった。


背中にも、唇にも、晴の温もりを感じる。



キスされないように守ってくれた?



安心すると同時に、それはどうしようもないほど嬉しくて。



顔は熱くなって、頬が緩んでいくのを感じてた。