時に、あたしの目を見ながら。

時に、あたしから目を逸らせながら。



言葉を選んで話す瞬間。

思わず感情が零れる瞬間。




そんな表情を見せながら、晴は今、どんな気持ちでこの過去を話してくれてるのかな?





胸がギュッと絞まる。


今まで知らなかった、晴の過去。





あたしが泣いたら、晴はきっと辛くなる。


だからダメだと思うのに、涙があふれ出て来た。





あたしの育ってきた環境とは180度違う。





「祐樹があんな風に俺に暴力を振るう様になったのは俺の父親のせいだ」


「……」


「俺があの家にいると、またいつか父親が祐樹の家族に手を出してくるかもしれない。だから祐樹は、俺を恨んでる」


「そ、そんな……」


「家から出て行って欲しいって思ってる」


「…っ!?」





辛いだけじゃない、悔しくて言葉にならない。

だって、何一つ晴のせいじゃない。



晴は、恨まれる様なことなにもしてないじゃない。