「それに、こんな風に誰かの分も料理したのは久しぶりで懐かしかったしな」


「え?」


「母さんと、姉さんと2人で暮らしてた時は、夕飯作りは俺の仕事だったから」





姉さんって、あの祐樹先輩のお父さんと結婚した人だよね。

晴とは血が繋がってないって言ってたお姉さん。


母さんって?



あたしの疑問を感じ取ったのか、晴は血の繋がらない“母さん”のことを教えてくれた。





「母さんと姉さんに、おいしいって言ってもらえると、俺でも必要とされる存在だって感じることが出来て嬉しかった…」





それを口火に晴は過去のことを、ゆっくり話してくれる。

今まで、自分のことを語ろうとしなかった晴。



その晴があたしに自分の過去を話し始めた。



あたしはその目を見ながら、話を聞いた。