晴の体も痛みは治まったみたいで、あたしはようやく落ち着きを取り戻してた。





「お、おいしい!晴!晴ってば店長ぐらいの料理の腕あるんじゃない?すごいよ!」




テーブルに焼き上がったグラタンが2つ並ぶ。

向かい合って食べるグラタンは店長の作ってくれるグラタンに負けないくらいおいしかった。


熱いグラタンをハフハフしながら必死で食べてたあたし。

ふと見上げると、晴がジッとあたしを見てた。





一気に我に返る。


そうだ!大喜びで食べてる場合じゃなかった!




「今日は本当にごめんね…全部作らせて」


「まだ謝ってんの?しつこい!」


「う、うん。でも…」





晴が言う様に、あたしはさっきから何回も謝ってた。


あたしは晴が料理が出来ること、今日初めて知った。

包丁さばきも調理も、華麗にこなした晴。


あまりの意外性とかっこ良さに、つい惚れ惚れ見つめてしまってて、我に返った時には、グラタンがオーブンに入った後だった。


『一緒にやろ』って言ってくれたのに、結局、晴に全部やらせてしまった、女子失格のあたし。




「…でも、今日は晴の誕生日なのに…」




これも、今日初めて知った…っていうか、家に帰ってから、店長達が作ってくれたというケーキを覗いてそれを知った。



ホールケーキの真ん中に「ハル18!もう立派な大人だね!」って書かれたチョコのプレートを発見したから。