本人は気付いてはいないと思うけど、桃佳はいつも俺にそんな感情を教える。


そのせいで俺は何が正しいのか、どうしたらいいのか分からなくなるんだ。





「俺が、グラタン作るのはの今日にしろって言ったんだよ。まぁ、モカは今日がお前の誕生日だってまだ知らねぇんだけどな」


「……?」


「モカにサプライズにしたくて、黙ったままケーキを渡すつもりだったんだわ。家に帰ってケーキに載ってるメッセージ見てびっくり!!ハルにどんな反応するのかなー?みたいなのに期待してたんだよなー」


「……」





今日は定休日なのに、みんながここに集まってたのは、みんなでケーキを作ってたからだったんだ?




桃佳が店長に『渡したい』って言われてたのはケーキだったのか。



それに気付いて、感動したけど。

サプライズは俺にじゃなくて桃佳にかよ?



そうツッコミたかったけど、桃佳を驚かせたいって思う店長の気持ちも分からなくもないからやめた。





あいつは、何をするのも一生懸命で、驚くのさえ一生懸命だから見ていて面白い。




楽しそうに話す店長は、桃佳のことかなり気に入ってる。