【完】ヒミツの恋を君と。

「な、なんで?」





叩いた直後にキスって?

首を傾げて固まったままのあたしを立花さんが覗き込む。





「なんでって、そりゃ付き合ってんだからキスくらいするでしょ?」





そっか、彼女は美月先輩が叩かれてたところは見てないんだ……って、え?付き合ってる?





「あの2人美男美女カップルで有名だよー知らなかった?」


「え?で、でもっ!」


「でも?」


「ううん、なんでもない…」





ふたりが付き合ってるなら、晴は?

晴は美月先輩の何なの?


あたしが押し黙ってると、立花さんはまた先輩達を覗き見してて、2人の様子を見ながら話し出した。





「でも、ベストカップルなんて言われてるけど、もしかして破局の危機なんじゃない?」





そう言って彼女はあたしを手招きして、覗く様に促(うなが)す。






「見て、男の方は背中に手を回して彼女を抱きしめてるけど、女の方は手をぶらんと下に下げてされるがままって感じじゃない?」





ほらね。って彼女は言うけど、何がほらねなのかあたしにはさっぱり分からない。

思いっきり首を傾げるあたしを見て、立花さんはククっと笑った。





「普通好きなら自然と手が背中に回るもんでしょ?あんなに抱きしめられてキスされてるのに、棒立ちって不自然だよ?」


「そ、そっか…な?」


「そういう反応、吉丘さんらしいよね」


「え?あたしらしい?」





あたしのことよく知らないはずの彼女にそんな事言われてびっくりしてしまう。


キョトンとするあたしを見て、満足したように、彼女はあたしについて語り出した。