一人暮らしだけでもかなりお金がいるはず。

返済しなくていい奨学金が取れれば晴の負担は随分減る。





「晴はいろいろ考えて行動しててすごいね」


「……そうでもねぇよ」


「でも、行きたい大学に指定校とか、奨学金とかあって良かったね」





そういうのない大学も多いから。





「……だな」





晴はそう呟きながら、遠くの景色を眺めてた。


晴の呟きは他人事様に聞こえて、違和感を覚えたけど、何も聞けなかった。




「お前はさ、ここの高校通い続けるの?」


「え?」





晴と同じように景色を眺めてたあたしに、晴が急な質問を投げてきたからびっくりして。

質問の意味が分からず、首を傾げた。





「俺はてっきり、前の学校に戻るって言い出すんじゃないかと思ってた」


「え?なんで?」


「だって、お前2人の春と仲直りしたんだろ?どのみち一人暮らしなら、2人の春のいる学校に戻って、家もそこの近くに借りることも出来るだろうから…」


「……あーなるほど」





晴に言われるまで、戻るなんて事考えたこともなかった。

そう言えばそうだな。


きっと晴とこんな風に仲良くなってなかったら、あたしはきっと前の学校に戻ってただろうな。

この学校に晴以外に友達いないし。





でも、晴と出会わなかったら、春と春ちゃんに会いに行く勇気も持てなかっただろうから、仲直りも出来てないんだろうな。